今日は建物の構造強度に大きな影響を与えるコンクリートについて品質不具合を見抜く方法をご紹介いたします。
コンクリートとは?
基本的にコンクリートは以下の材料から構成されています。
- セメント材
- 水
- 骨材
- 混和剤
これらを混ぜ合わせることにより約数時間で硬化、強度発現をいたします。
これは化学反応であり、「水和反応」と言われます。(学校では必ず習います)
あらかじめほしい強度となるように上記を混ぜ合わせることを「配合」といいます。
〇〇N/mm2以上となる設計強度を満足する配合にてコンクリートを打設する、ということが建物躯体工事を進めるうえで重要となります。
(〇〇には15~30の3刻みで計画します。N/㎜2は応力度単位)
コンクリートは長時間を掛けて強度が増強していきます。(1年以上)
ただそれでは工事中に設計強度が満たされているか確認ができないため、コンクリートを打設してからちょうど28日後、いわゆる「4週強度」の際に強度試験を行い、設計強度の確認を行います。
ちなみにコンクリートは型枠に流し込んで打設します。当然ながら強度が出ない状態で型枠を外してしまうとコンクリート自重などでひび割れなどが起きてしまいます。
一般的には5N/mm2以上発現すれば、型枠を解体してもいいというルールがあります。(他、日数管理もあります。)
コンクリートの品質不具合とは
以上のような性質をもったコンクリートですが正しく施工管理がなされていないと深刻な不具合が発生します。
主な不具合としては以下のものが挙げられます。
ジャンカ
何のことかというと、型枠の中にしっかりとコンクリートが流し込まれていないと、型枠の中でセメントや骨材間で空隙が生じ、もろいコンクリートとなってしまう現象です。
程度は様々ですが、期待したコンクリートの強度にならないだけでなく、中に入る鉄筋も腐食が進んでしまう重大な不具合です。
セメントペーストが漏れ出てしまった状態。中の砂利が見えてしまっています。
そもそもコンクリートが回っておらず、大きな穴となったジャンカ。
中の鉄筋までむき出しとなってしまっている。
このような不具合を見抜くためには以下の方法が有効です。
コンクリート面をたたく
怪しいと思うところを叩いてみます。素手ではなく金属ハンマーなどです。しっかりと中身の入ったコンクリートであるならば石をたたいている感触があり、かん高い音が鳴りますが、内部に空隙があると、コンクリート内で音が響いて、鈍い音が混じります。
打音検査といい、目視検査に並ぶ最も簡易的な試験です。
ちなみにコンクリートが固いとはいえ、大型ピックやハンマーでやると当然壊すことができるので、専用ハンマーを用いて、壁をノックする程度で行います。
ひび割れがあるかを見る
コンクリートは強度発現するうえで若干縮んで行きます。これを乾燥収縮といいます。
その際にひび割れ(クラック)が大小さまざま現れますが、内部にジャンカがあるとその筋で発生することもよくあります。
ひび割れがあるか見て、軽く叩いてみてという行為で躯体の簡単な検査ができます。
コールドジョイント
コンクリートは水和反応を起こす際に発熱します。(温度帯は季節にもよりますがMax35℃までで管理します。)
当然コンクリートを打設してからしばらくすると常温に近づいてきます。(コールド)
水和反応が薄れてきたコンクリートに対して、新しくコンクリートがうち重なっていても(ジョイント)一体での水和反応になりません。一体での反応をしないということは物質として分離した状態になってしまいます。(破ったトランプの絵柄をそろえることはできても1枚にはならない、といったイメージ)
つまりコンクリートを一度打ってから一定時間放置して打設してしまったことによるコンクリート同士の付着不良が発生します。
コンクリート仕上がり面の模様を見る
多かれ少なかれ、コンクリートは施工時の流し込み方や使っている型枠の模様、多湿や寒冷時などで模様がつきます。技術者でも判断が分かれる現象ですが、こういった模様も不具合なんだという認識を持ってください。
他、観点はいろいろありますがまた別の機会に。
ありがとうございました。